第4回 My 養生・不養生
「健康的な生活をしましょうね」と日頃から患者に説いている医療専門家。プライベートでも健康に気を遣っているかというと、どっこいそうでもなかったりして!? 先生がたの意外な素顔を直撃インタビュー。
遊馬吉右衛門先生
眼科セミナー前日にものもらい
研修医時代にコンタクトで徹夜、角膜炎
遊馬吉右衛門 Kichiemon Asoma, MD
眼科専門医師(Board Certified)。ニューヨーク州立大学(SUNY)臨床助教授。SUNYダウンステート医療センターで眼科研修修了。白内障、緑内障他、さまざまな目の症状と病気の治療、手術を手掛ける。レーザー近視矯正手術、角膜移植、角膜内皮移植(DSAEK)の特別訓練を受ける。2017年からボランティア眼科医師団の一員としてハイチに赴き、白内障などの手術を行う。
The Shimmyo Group
345 E. 37th St., #203
(bet. 1st & 2nd Aves.)
TEL: 212-867-5700
www.drshimmyo.com
—その眼帯、もしかして“眼医者の不養生”ですか?
1週間前、明日が眼科セミナーってときに右目に麦粒腫(ものもらい)ができてしまいました。(取材時点で)けっこう長引いていて、まだ完全に治らないので、少量の抗菌剤が入った市販の目薬をつけ、1日に3から4回こうやって温湿布をしています。
いやー、さすがに唖然としました。前の晩は、「あれ、なんか目をこすったかな」くらいの感覚だったんですが、セミナー当日、朝起きて鏡を見て、「ええ!?」でした。目が真っ赤になって腫れ上がっていましたから。
眼医者だって人ですから、ものもらいくらいできるとはいえ、僕に限って言えばこれまで1度もできたことがないんです。それなのによりによってなぜあのタイミングで! セミナーでは人前に立つのもはばかられたので、プロジェクターを使って、自分は観客席からマイクを持って説明しました。
—ものもらいは感染しないと聞きますが。
よく聞かれますが感染はしません。だからセミナーもそういう意味では観客に伝染る心配はありませんでした。
言い訳するわけじゃないですが、予防のしようもなかったというのが現実です。ものもらいはマイボーム腺という、まぶたの縁にある皮脂腺が詰まって脂がたまり、膿んでしまう症状です。ドライアイの原因にもなるもので、マイボーム腺機能障害と診断されている人は、定期的に目に温湿布をすることで予防します。でも、僕の場合はそういう機能障害もないわけで、突発的なものでした。
—患者さんの反応は?
前から通院している患者さんは笑ってくれましたけど、眼科医がものもらいで眼帯しているわけですから、初めての患者さんは心配そうな目で見ておられましたね。
—先生はかなり近視だそうですね? コンタクトレンズを着けているんですか?
そうです。子どものころから強度の近視です。そもそも僕が眼科医になろうと思ったのも自分が近視だったからです。今は、仕事や外出の際はデイリー(1日使い捨て)のコンタクトレンズを使用し、夜や週末はメガネをかけるようにしています。
研修医のころは、2週間用とか1カ月用のコンタクトレンズを使っていたんですが、徹夜勤務が多かったため、30時間コンタクトつけっぱなしみたいな生活を続けていたら、角膜炎を起こしてしまったことがあります。これも考えてみたら、眼医者の不養生ですね。
—健康のために何か運動をされていますか?
うーん、ぼちぼち…。まあ、運動不足気味と言っていいかもしれません。学生時代はサッカーと空手をやっていました。空手は初段。今はやっていません。やりたいんですけどね。自転車も好きですが、2年前ブルックリンのバイクレーンで信号無視の車に当て逃げされ、けがをしたことがあります。しばらくは体が思うように動かず苦労しました。あのときは、けがが仕事に支障を来すことを身を持って学びましたね。あれ以来、自転車での遠出は避けています。
—眼科医師団としてハイチにボランティア治療に行かれるそうですが、現地での健康管理はどうされていますか?
今年の夏に初めて参加しました。5日間、毎日朝から晩まで、現地の人に白内障などの手術をしてきました。貧しい国で、数年前の震災からの復興もできておらず、われわれが行かなければ眼科医に診てもらうこともできないような患者さんばかりでした。
現地では蚊が媒介する感染病があるので、毎日抗マラリア薬を服用し、水道水は飲まず、歯磨きもボトル入り飲料水を使っていました。けっこう蚊に刺されましたが、元気で全ての手術を終えて戻ってきました。今後もこの活動を続けていきたいし、手術をするには目も体も健康でないといけないので、これからはもっと健康管理に気を配らなきゃなあと思います。
※11月24日号が感謝祭で休刊だったため、1週遅れて掲載しています。