【4日付ニューヨークタイムズ】メトロポリタン(MET)美術館は4日、ニューヨーク州に居住していない入場者に入館料の支払いを義務付けることを3月1日から実施すると決定、発表した。同美術館は大人1人につき25ドル(約2800円)の入館料を推奨しているが、支払いは半世紀にわたり「任意寄付」としてきた。その慣行に終止符を打つことになる。
同美術館の主な収入源は個人の寄付や公共資金だが、寄付金の争奪戦は激化しており、公共資金も安定していない。過去13年間で、入場者は年間470万人から700万人に増加したものの、推奨額を払う人の割合は63%から17%に激減し、同美術館は財政難に陥っている。
「美術館運営には安定した収入源の確保が必要で、バランスを取るための措置だ」と、ダニエル・ワイス館長は説明している。州の居住者の入館料は、これまで通り、任意の寄付制を適用する。ただし、住所を記載した身分証明書の提示が求められる。
入館料は現在、同美術館の年間運営費3億500万ドル(約344億円)の14%を占めており、入館料を義務化することでこれを16から17%に引き上げることを目指すが、州外からの入場者や観光客から抗議の声が上がるのは必至とみられる。