【5日付ニューヨークタイムズ】ブロンクス区のアパートでニューヨーク市警察(NYPD)の警官が発砲し、精神疾患の女性を射殺した事件を巡り、警官同士の証言が食い違っている。
事件は2016年10月18日、同区キャッスルヒルで発生。デボラ・ダナーさん=当時(66)=が暴れているとの通報を受け、現場に駆け付けたヒュー・バリー巡査部長(31)がダナーさんを射殺した。同巡査部長は第1級殺人罪に問われており、自身の身が危険にさらされていたかどうかが争点となっている。同巡査部長は「ダナーさんがバットを振りかざしてきた。自己防衛のため止むを得ず発砲した」と主張している。
一方、同巡査部長と共に事件現場にいたカミロ・ロザリオ巡査は、「ダナーさんは当初、はさみを持ちながら同巡査部長を威嚇していた」と話しているものの、6日の証人尋問で「ダナーさんはバットを振り下ろし、同巡査部長を襲おうとしたのか」との検察官の質問に対しては、「そのような動きは目撃していない」と否定した。「発砲する前にダナーさんをなだめようと試みた」という同巡査部長の主張は、現場にいた救急隊員の主張とも食い違っている。
ダナーさんは過去に10回入退院を繰り返していたという。NYPDの精神疾患患者への対応見直しが求められている。