ユダヤ人差別事件全米で増加 NY州が90%増で最多

 米国最大のユダヤ人団体、名誉毀損防止同盟(ADL)が2月27日発表した報告書によると、ユダヤ人に対する差別事件が2016年から17年の間に全米で60%増加していたことが分かった。ユダヤ人の人口が多い都市でも事件は多発し、ニューヨーク州が380件と前年比90%増で最多。カリフォルニア州268件、ニュージャージー州208件、マサチューセッツ州177件、フロリダ州98件、ペンシルベニア州96件と続く。
 ADLが1970年代に記録を開始して以来、1年間での増加率が最も高く、事件数は2番目に多かった。学校で起きた事件の数が2年連続で約2倍に増えていたことが、大幅な増加の原因とみられている。
 17年には、16年の1267件から57%増となる1986件の暴行、器物破損、ユダヤ人施設の攻撃など、ユダヤ人をねらった事件が報告されている。全50州で事件が報告されたのは過去10年以上で初めて。
 内容別ではユダヤ人施設の爆破予告などの脅迫163件を含むハラスメントが16年から41%増の1015件、器物破損は前年比89%増の952件。一方、暴行事件は19件で、16年から47%減少していた。
 事件が最も多発した月は第1四半期で、1月は208件、2月は273件、3月は273件。ユダヤ人施設に対する163件の脅迫は、全てこの3カ月間に起きている。ADLの代表は、「このデータが、世間の差別的な風潮をよく表している」と批判した。