【10日付ニューヨークタイムズ】オピオイド系鎮痛剤まん延の元となる製薬会社に抗議する活動家たちが10日、メトロポリタン美術館のサックラー棟内で抗議デモを行った。同美術館に対し、同鎮痛剤製造とつながりのある会社からの寄付の拒絶と、依存患者の治療のための基金設立を求めて訴えた。
同棟は、オピオイド系鎮痛剤「オキシコンチン」の製造会社、パデューファーマ社の前身を創設したアーサー・サックラーなど3兄弟が、1970年代に350万ドル(現在のレートで約3億7500万円)を寄付して設立。現在もサックラー家から寄付を受けているという。
デモの中心となったのは著名な写真家で活動家のナン・ゴールディンさん。オキシコンチン中毒者の写真を撮り、自身も同薬の依存症になった経験があるという。
ゴールディンさんの呼び掛けに賛同し数十人が集結。「サックラーは恥を知れ」などと書いた黒い旗を広げ、「サックラー家提供のオキシコンチン」とのラベルを貼った錠剤用ボトルをまき散らした。ゴールディンさんは「私たちは芸術家、活動家、そして依存症患者だ。(オピオイドには)もう飽き飽きだ」と演説し、同美術館に対しサックラー家からの寄付を拒否するよう要請した。
同美術館とサックラー家は取材の求めに応じなかった。