オラトイ住宅局長が辞任表明 市長かばいきれず、問題は山積み

 【9日付ニューヨークタイムズ】ニューヨークのビル・デブラシオ市長は9日、ニューヨーク市住宅局(NYCHA)のショーラ・オラトイ局長が今月30日付で辞任すると発表した。
 市内5区にある2400棟の居住ビルで17万5000戸の公共住宅を運営する全米最大規模の同局は、鉛含有塗料検査のデータ改ざんや暖房不備の問題により、世間の厳しい目にさらされているが、市長は過去数カ月にわたり同局長を擁護、辞任の意向はないと公言していた。
 同局は2013年から、約5万5000棟の公共住宅で鉛含有塗料の目視評価を実施していなかったにもかかわらず、同局長は評価を実施したとする虚偽の報告書に署名し、米住宅都市開発省(HUD)に提出していた。この問題を受け同局では昨年11月、幹部職員2人が辞職し1人が降格処分を受けている。対応には200億ドル(約2兆1442億円)相当の修理が必要とされたが、同局はこれを後回しにしていた。一方で、連邦政府からは巨額の補助金を受けていた。
 アンドリュー・クオモ州知事は今月、市の公共住宅の修理のために州が追加した助成金を監視する監督官を市議会が指名するよう、緊急命令に署名している。同局長は市議会の公聴会以来、公の場にほとんど姿を見せていなかった。

オラトイ住宅局長。www1.nyc.govより

オラトイ住宅局長。www1.nyc.govより