9.11疾患保険、存続危機に 連邦予算案の影響で

 【11日付amニューヨーク】2001年9月11日に起きた米同時多発テロ(9.11)により崩壊した世界貿易ビル跡地で、救出作業やがれきの処理に当たり、その後、がんや慢性閉塞性肺疾患など重篤な病気になったニューヨーク市消防局(FDNY)隊員らの治療や経過観察を目的とした世界貿易ビル医療保険制度(WTCHP)が、トランプ大統領が発表した予算案の影響により存続の危機に瀕している。これを受け、ニューヨークのエリック・シュナイダーマン州司法長官は9日、連邦議会議員らに同予算案成立の阻止を求める文書を送達した。
 WTCHPの対象は、FDNY隊員1万6000人を含む約8万3000人。しかし同予算案では、WTCHPを主体となる国立労働安全衛生研究所(NIOSH)から独立させる方針だ。同司法長官によると、NIOSHは02年以来、9.11関連の疾患の治療、監察および調査への資金提供を続け、WTCHPの職員がNIOSHに専門知識の助言を求めるなど、依存関係にあるという。
 同司法長官は、「WTCHPとNIOSHを切り離すと、不必要な混乱を招いたり、被害者の命を危険にさらしたりする恐れがある。軽率で危険な大統領の予算案を阻止するために、できる限りの措置を講じるよう求める」と呼び掛けた。

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