【12日付ニューヨークタイムズ】ヘロインやオピオイド系鎮痛薬の中毒根絶に向け、ニューヨーク市は2015年から拮抗薬のナロキソンを処方せんなしで入手できるようにしたが、ニューヨークタイムズがこのほど行った調査の結果、市内の薬局の多くが同薬不足に陥っていることが発覚した。
デブラシオ市長と夫人のシャーレーン・マックレーさんが始めた同取り組みに参加している市内の薬局720店のうちナ、ナロキソンを常備し、処方せんなしでも購入できる体制が整っているのは270店だった。在庫はあっても処方せんを必要とする店は90店あり、残る360店は在庫切れであることが分かった。特にヘロイン中毒死が最も多いブロンクス区では、登録されている薬局100店のうち同薬を常備していたのは20店と、不足が目立った。中には当事者にしか販売しない薬局もあり、薬物中毒者支援団体は「拮抗薬が手に入らなければ命に関わる危険性があるため、ナロキソン不足は見逃してはならない問題だ」と警告している。
オピオイド中毒は全米で深刻化しており、米公衆衛生局は今月初旬、同薬の使用を推奨する声明を発表している。同薬は鼻腔用スプレーまたは筋肉注射で投与し、後2分から5分で効果が現れる。