シムズ博士の記念像撤去 黒人女性奴隷で人体実験

【16日付ニューヨーク・デイリー・ニュース】ニューヨーク市公共設計委員会は16日、19世紀に黒人女性の奴隷を使って人体実験を行った白人医師の記念像を、マンハッタン区のセントラルパークから撤去することを全会一致で可決した。
J・マリオン・シムズ博士は、かつて「現代の婦人科学の父」と呼ばれていたが、黒人女性の奴隷に麻酔なしで外科手術的な実験を行っていたことに対して、最近、抗議運動が起きていた。同記念像は、ブルックリン区のグリーンウッド墓地にある同博士の墓石の隣に移設するため、東103丁目に近い同公園内から17日午前に撤去。正式な設置時期は確定していない。
同記念像の撤去は市の記念建造物委員会が提案。同委員会は市内にある「物議を醸す像」について調査していたが、同記念像の撤去のみを提案するに至った。
投票前の公聴会では、同記念像は公共の場に設置されるべきではないとして、同墓地での設置に対しても反対の声が上がっていた。一方、ストーニーブルック大学公共芸術社会史教授のミシェル・ボガードさんは同決定について、「市の歴史である像を単に現代人の感情だけで撤去するべきではない」と批判している。