NY市に「薬物自己注射施設」開設か 物議醸すデブラシオ市長の提案

 【3日付ニューヨークタイムズ】ニューヨークのビル・デブラシオ市長が3日、ニューヨーク州政府にヘロインなどの過剰摂取の対策として、安全な「薬物自己注射施設」の開設を提案し物議を醸している。
 同様の施設はカナダや欧州で成功を収めているとされているが、いまだ米国内には存在していない。カリフォルニア州サンフランシスコ市などでも検討されていたが、連邦法違反とされ、実現には至っていない。薬物過剰摂取で昨年1441人が死亡したニューヨーク市で開設するためには、複数の地方検事やニューヨーク州保健局の協力が必要となる。
 同市長の提案書によると、6カ月から12カ月の猶予期間後にマンハッタン区ワシントンハイツやミッドタウンウエストなど市内4カ所に同施設を開設し、運営および資金調達は市が承認した非営利団体が担当する。専門の訓練を受けたスタッフがオピオイド拮抗薬、ナロキソンを投与する他、ソーシャルワーカーが薬物依存の治療プログラムを紹介する。同市長は「他国の努力や専門家の意見を考慮した結果、過剰摂取防止施設がニューヨーカーの命を救い、薬物依存の治療に導くと確信している」と述べた。
 一方、同市長と反目するアンドリュー・クオモ州知事は、同提案への支持を表明していない。